中華(RGEEK)のMini-ITXケース、「RG-L65S」を購入して余ってたITXで1台組んでみたので感想とか。そんな新しいケースでもないんですが、無茶な組み方をしているレビューが特に見当たらなかったので拙いながらやってみました。一般的な使い方をしてないので、普通に組むつもりの方には参考にならないかもしれません。
カタログスペック
公式サイトで確認できます。ただところどころ足りなかったり間違っているので気になるところを列挙します
CPUクーラー高さ | 3.5インチHDDを搭載した場合 | 20mm |
2.5インチHDDを搭載した場合 | 36mm | |
HDDマウント用ブラケット未使用の場合 | 約47~48mm | |
ケースファン | 40mm(10mm厚) or 50mm(10mm厚) 合計2個 | |
大きさ | 197*197*65 mm (W*H*D) ※約8mmの足を含まず |
天板に穴のない「RG-L65」もあります。(末尾のSがない)
高さが80mmの「RG-L80(S)」もあります。
USB2.0版と3.0版があります。
電源はPicoPSU等+ACアダプタで運用することになります。ケースには5.5mmプラグ用や無線LANのアンテナ用と思われる穴が開いています。
RG-L80SのUSB 3.0版は執筆時点ではAmazonで購入できます。他はAliExpress等で購入できます。
一応「RG-L65S」の記事になりますが、「RG-L80S」だったらこうだろうな、と予想して比較できるところはしながら書いていくことにします。
また、今回は天板裏のHDD・ファンマウント用のブラケットは未使用です。使わない前提の記事になっています。ご了承ください。
各部の確認
全体
たまたまあたりを引いただけなのかもしれませんが、作りはかなり良いように思います。マザーのバックパネルもマザーボードもすんなりと取り付けできました。ねじ穴の位置のずれやゆがみは全く感じられませんでした。
アルミは厚く、曲面の処理も問題なく、外観、質感ともに十分です。Amazonで約5500円で買えるケース(80mmの方ですが)とは思えません。
天板裏のブラケット
HDDのマウンタ(中央)、ファンのマウンタ(緑枠)、USB端子の固定(青枠)の役目を担っています。せっかく天板に穴が開いているのに塞いでしまってCPUクーラーやエアフローの邪魔になるので、最初にも記載しましたが今回は使いません。
ケースファン、USB端子の固定はブラケットがないとできません。
…買って実際に触れるまでUSB端子の固定までやってると思わなかった…。
ACアダプタのプラグ穴
直径約8.5mmの外径5.5mmのプラグ用の穴が開いています。外径5.5mmのプラグを使うのであれば特に困ることはないでしょう。
私の手持ちのACアダプタがPowerDinのもので、メス側もPowerDinしか手元になかったので、これが挿せるように穴をやすりで直径約12mmまで拡張しました。また、マザーボードのバックパネルと少し干渉、ケースの天板とも少し干渉するようになってしまったので、少し電源のメスの固定を緩くして遊びを作り干渉を回避するできるようにしました。当然挿しこみは少し甘くなります。
また、ギリギリまで拡げる必要があるので、剛性の面でも不安です。かなり無茶です。事前の計画ではバックパネルがはみ出てきてしまうこと、ケースの天板と少し干渉してしまうことは想定できなかったです…。力業に抵抗がないならバックパネルやケース天板の邪魔な分も少し削ってしまいましょう。
Amazonレビューで厚さ80mmの「RG-L80(S)」でPowerDin用に穴を拡張してる方がいらっしゃいますが、そちらはやはりかなり余裕がありそうなので、無難に穴を拡げたいなら80mm版を選んだほうがいいと思います。
CPUクーラー
Noctua の NH-L9i に25mm厚の9cmファン(Gentle Typhoon 92mm 1700rpm)を載せました。ブラケットと後述のUSB 3.0を無視していいなら組むのは楽です。
合計約48mmの高さになりましたが、蓋はしまるものの、ほんの少し浮いてしまう状態になってしまいました。ねじがうまりやすいファンを使う、頭が低いねじを使う、ファンのねじ穴部分を少し削るなどすればぴったり収まるようになりそうです。
穴の開いた天板とCPUクーラーのファンがかなり近くなる状態になったので、CPUクーラーのファンがケースファンを兼用するようになりました。まともなケースファンを付けられない本ケースでは、CPUクーラーにケースファンの役割もさせてしまった方が冷却効率が良くなるのではないでしょうか。NH-L9i のファンをわざわざ標準の厚さ14mmのものから変更したのも天板に近づけるためです。
NH-L9i 以外だと Cryorig の C7 が公式で厚さ47mmなので、ギリギリいけそうです。Zalman の CNPS80F は公式で厚さ48.4mmですし、形状的にもきつそうです。
正直高さ65mmのケースなら50mmくらいまでの高さなら入るだろうと思って購入したのですが、思った以上にケースが肉厚で48mmが限界でした。
厚さ80mmの「RG-L80(S)」の方だと単純に15mm足して高さ62~63mmが限界になりそうです。Noctua や Thermalright が高さ65mmのCPUクーラーを出してるんですが、多分搭載するのは無理じゃないかなあ…。AXP100 は型番によって高さが違うけれど、AXP-100 Full Copper なら合うのかもしれません。
CPUクーラー設置後、面していない天板の穴部分は適当に塞ぎました。余計な穴は塞いでしまってエアフローを整えます。写真だとわかりにくいかもしれませんが、CPUクーラー部分以外の天板穴は塞いでます。
天板穴ですが、一応12cmファンと穴の位置を合わせることができます。が、ケースファン用のネジは通りません。細いねじを通して逆側からナットで絞めれば無理やり12cmファンを設置することもできなくもないのかもしれません。
USB 3.0
ケース用のUSB 3.0は珍しく?きしめんタイプでした。写真ではわかりにくいですが、これ、とんでもなく固いです。固すぎてマザーに挿して蓋をするっていうのがそもそもかなり無理があります。横にねじれません。固すぎて無理やり挿したらマザーの内部USB 3.0端子を壊してしまいそう。
そのうえ私の場合、CPUクーラーのファンと干渉もしてしまったので、残念ながら使用はあきらめました。USBの端子部分は単なる穴になってます…。
またブラケットがないと固定できない専用設計なので、背の高いCPUクーラーを使いたい場合はUSB 3.0の固定部分以外ブラケットを切断する必要があります。
参考(高さ80mmのものですが)
そもそも固すぎる、干渉しやすい、ブラケット必須。とにかく障害が多いです。内部USB 3.0を延長してとりまわしの自由度をあげる、CPUソケットが上すぎないマザーボードを選ぶ、ブラケットをがんばって切断するなどしないと使えません。
今回使ったマザーボードのレイアウト。青の部分にUSB 3.0の端子がくることになります。CPUソケットの位置(赤枠)が下(PCI-Express)にもっと寄ってないと干渉します。
「RG-L65(S)」「RG-L80(S)」どちらを使うにしろ、USB 3.0を使いたいならCPUソケットの位置は意識しておいた方がいいかもしれません。
厚さ80mmの「RG-L80(S)」の方であれば接続は少し楽になると思います。「RG-L65(S)」の方では最初から無理くらいの気持ちで挑んだ方がいいと思います。妥協してもっとケーブルの取り回しがしやすいであろうUSB 2.0のものを買ってもいいかもしれません…。
足
ねじ止めされてるだけなので簡単に外せます。片方の通気口はふさがりますが、縦置きにも一応できます。65mmはやっぱり細いです。
ベンチマーク
以下の構成で適当にCPUベンチを回してみました
CPU | Xeon E3-1245v3 4C/8T 3.4GHz(0.92V) TB無効 |
マザーボード | Z87E-ITX |
CPUクーラー | NH-L9i |
CPUクーラーのファン | Gentle Typhoon 9cm 1700rpm |
メモリ | DDR3 8GBx2 |
ストレージ | 2.5inch SATA SSD 256GB |
電源 | PicoPSU 160XT + STD-12160 |
あまりもので組んだのでずいぶん古い構成です…。CPUの殻割りはしていません。CPUはi7でいうとほぼ4770みたいなものです。SSDは天板のあいたとこにはりつけました。ファンはCPUクーラーのみで、ケースファンはありません。
CPUのベンチを1時間回して(ワットチェッカー使用)
室温:15℃ / アイドル:15W ベンチ時:95W / コア温度:76℃
でした。夏場だときつそうですが、もっと高回転のファンを使うか、クロックと電圧を下げれば十分運用できるでしょう。TB無効にして電圧を結構詰めているとはいえ、9cm1700rpm1つのみでこれくらい冷やせていれば十分でしょう。怖いので殻割りしていませんが、殻割りできる人ならもっと楽でしょうね。
また、天板の余計な穴を塞ぐ前にはかったときは+10℃くらい高かったので、やはり余計な穴は閉じてしまった方がいいようです。CPUクーラーのファンの向きはCPU方向(吹付)に設置する方が冷えました。横置き縦置きで特に差は見られませんでした。
天板穴から吸気し、側面等の穴からしっかり排気されているのが手をかざしても簡単にわかりました。天板穴なしタイプの場合は、4cmか5cmのケースファンで吸排気しないといけないので爆音確実でしょう。
95W消費する構成でも耐えられたので、安定して高電流を供給できるPowerDinにがんばって対応した意味はあったのかも。AMDのAPUでもcTDPを少し低めに設定してやれば十分動かせるでしょう。
競合との比較
極小のITXケースではメジャーだところだと Antec の ISK-110 や InWin の Chopin あたりが思い浮かびます。どちらもCPUソケット位置との相性がよければ、CPUクーラーの高さは「RG-L65S」とほぼ同じ48mmまでいけるようです(実際自分で組んだことはないので保証できません)
ISK-110 にNH-L9i+25mm厚ファンは
Mini-ITX ISK-110に VESA H77M-ITX i5-3570Tを組み込んで普段使い用に (rarak.jp)
こちらの方がやってらっしゃいます。
SilverStone の Milo10 も気になったのですが、公式サイトでかさ上げとブラケットなしでCPUクーラーの高さが43mmとなっています。もう少し高くても入りそうに見えるのですが。
単純に小ささだけ求めるなら ASRock の Deskmini もありますね。Mini-STXとあって、155 x 155 x 80 と容積は「RG-L65S」の198 x 198 x 65 より小さいです。今回は古いITXパーツの復活目的だったのと、CPUクーラー高さ48mmは不可能とのことで選択肢には入りませんでした。
まとめ
- 値段の割に剛性、作り、質感はかなり良い。
- ACアダプタは穴を拡張してPowerDinを使うことは無茶すれば可能。無難に使いたければ5.5mmプラグを使うか80mm版の方を選びましょう。
- ブラケットを外した場合のCPUクーラーの最大の高さは65mm版なら47~48mm。80mm版ならおそらく62~63mm。
- ケースのUSB3.0はケーブルが固すぎて無茶しないとマザーと接続できない。使いたければ内部USB3.0延長ケーブルを使う、CPUソケットの位置が上過ぎないマザーボードを選ぶなど工夫が必要。固定が特殊なので市販のケーブルと置き換えは不可能。USB3.0も80mm版の方が使うのは楽。
極小でそこそこ冷えるITXなPCを組みたいなら苦労するのを覚悟で選んでみてもいいと思います。個人的には天板穴なしは冷却がきつすぎると思うので、穴ありをおすすめします。
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